2024-01-07

時雨雲

冬場、脊梁山脈のちょっと太平洋側にいると、ちぎれ雲が流れてくる。もうちょっと前は雨か雪を降らせていた時雨雲だったのだろうけれど、もう雨を降らせる力はなくなって、ただ流されて消散していく。雲の二名法分類では Cu hum か Cu fra くらいだろう。CL=1 ってのはなんとなく CL=2 の発達前段階みたいな気がしていたが、消えていくところもあるんだなと気付かされる。
綿のような形状も興味深い。綿といっても綿花のようなモコモコした格好(カリフラワー的とかいう)ではなくて、ちぎった綿がほつれたような姿。すでに内部に対流がまったくなくなっているようで、位置関係を変えることなく完全に並進運動しているわけだが、おそらくは雨を降らせていた頃はカリフラワー的な対流セルに伴って形成された薄い、または細い高湿度・高雲粒の領域が残っているのだろう。真面目にシミュレーションしようと思うと難しいけれど。
ふと、これにラジオゾンデが突入したらどうなるかと思った。いうまでもなく短時間だけの局所的な高湿度を報じるであろう。雲に入るかどうかで大きく違ってくる。ラジオゾンデは鉛直分解能は高いが、水平方向には一点しか代表していないので、こういった丸っこい(薄平たくない)雲に突入するかどうかは運である。富士山の笠雲・吊るし雲なんかを例にとって、薄平たい温湿度構造があるので、これはラジオゾンデによってよく観測されるなんていう話を聞くが、大気の状態が対流的であれば必ずしも温湿度構造は薄平たいばかりではないと気付かされる。

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