2018-05-23

(BUFR) 操作記述子 2 03 YYY の使い方と、死海の水位低下

(このエントリは一人合点なのを許してください。)

IPET-CM-II 会合文書に BUFR で SYNOP 報に相当する通報をするためのテンプレート規則 B/C 1 の改正案がかかっていて、これについて議論することで身の回りでは初めて操作記述子 2 03 YYY の使い方について文書に書いてあることの意味が確定したのでありました。

https://www.wmo.int/pages/prog/www/ISS/Meetings/IPET-CM_Offenbach2018/Documents/IPET-CM-II_Doc3-2_SYNOP-BUFR.docx

【英文】

2 03 YYY
Change reference values
Subsequent element descriptors define new reference values  for  corresponding  Table  B  entries.  Each  new reference  value  is  represented  by  YYY  bits  in  the  Data section. Definition of new reference values is concluded by  coding  this  operator  with  YYY  =  255.  Negative reference  values  shall  be  represented  by  a  positive integer with the left-most bit (bit 1) set to 1.

【日本語公定訳】

2 03 YYY
参照値変更
表Bの該当する欄に,後に続く要素記述子の新しい参照値を定義する。新しい参照値は,それぞれ資料節にYビットで表す。新しい参照値を元の値に戻すには,この操作子のYを255として配置する。負の参照値は,最上位ビットを1とした正の整数で表す。

【意訳】

この操作記述子の後に続く任意個の要素記述子に対応して、データ節にはそれぞれ YYY 個ビットの欄が設けられ、それぞれから得る整数値が各要素記述子の新たな参照値を定義する。新しい参照値の定義の末尾には、この操作記述子で YYY = 255 としたもの(つまり 2 03 255)が置かれる。負の参照値は最上位ビットを1としてあらわす。

【文書に書かれた実例】

記述子        ビット数        意味

2 03 014        -        参照値変更のはじめ
0 07 030        14        観測地地面の標高の新しい参照値
0 07 031        14        気圧計の標高の新しい参照値
2 03 255        -        参照値変更のおわり
3 01 150        略        いくつかの要素記述子に展開され、WIGOS地点番号を表現する
3 01 090        略        いくつかの要素記述子に展開され、次が含まれる
3 01 004        略        地点番号など
3 01 011        略        年月日
3 01 012        略        時分
0 07 030        17        観測地地面の標高
0 07 031        17        気圧計の標高


【蛇足】

ちなみに、なぜ今この話がでてきたかというと、イスラエルが死海沿いの新しい地点から通報を始めようとしたのだけれど、死海の水位が下がっているせいで、標高が -400 m を割り込んでしまうのですね。BUFR というのは各要素ごとに通報できる値のレンジが決まっているのだけれども、標高については -400 m 以上なのです。1990年代に実際に使われていた地点の最低点が -400 m 以上だったからだそうです(いつかは忘れましたが2010年代初頭の気象庁ハンドブックに記載されていたのでこれは既公表情報です)。

そのころ既に死海の水位低下は始まっていたので、ちゃんと考えておけばこんなことにはならなかった… かもしれませんが、まあ人間そこまでの先見性はないものでしょう。

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