2018-05-23

(GRIB) gnomonic grids を心射格子と訳すべきか

球面上または薄い球殻中の流体シミュレーションで gnomonic grids というのがありますが、これを心射格子と訳すべきかという話。

そもそも何故関心があるかというと、GRIBは世界気象機関WMOの定めた格子データ(地理風にいえばラスタデータ)形式の標準です。
公式ドキュメントはこのへんにあります。
http://www.wmo.int/pages/prog/www/WMOCodes.html
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/tsuhoshiki/tsuhoshiki.html

この GRIB には毎年多数の改正があり、WMO の専門家チーム会合にかかるわけです。今年のはこれ。
https://www.wmo.int/pages/prog/www/ISS/Meetings/IPET-CM_Offenbach2018/IPET-CM_DocPlan.html

そこで米国提案の文書で、 gnomonic grids の表現方法を新しく定義しようという話がきました。
https://www.wmo.int/pages/prog/www/ISS/Meetings/IPET-CM_Offenbach2018/Documents/IPET-CM-II_Doc2-2-7_GRIB2%20gnomonic%20grid.docx

そもそも球面上の流体シミュレーションは、数十km以上の格子間隔の低解像度であれば球面調和関数展開により水平微分(移流や拡散など)を計算するスペクトル法というのが主に用いられてきていたわけですが、近年は高解像度化にともない、普通の直方体的計算領域のシミュレーションコードと同様に格子差分による方法が広がってきました。でもって常識的には球面を正多面体(正二十面体か立方体)に沿って分割することになります。でもってその正多面体の面と球面との間を等角写像でマッピングする conformal grids (運動方程式に余計な項が現れない利点はあるが格子間隔は不ぞろい)と、心射図法 gnomonic projection でマッピングする gnomonic grids があるわけです。

具体的形状に興味があるひとは、今般米国ではFV3という流体シミュレーションコード(気象方言でモデルとか力学コアという)が使われるのでそこの図を見てください。
https://www.gfdl.noaa.gov/fv3/fv3-grids/

思いついて調べた限り、地理学では gnomonic projection = 心射図法は定訳といえるのに対して、気象・流体シミュレーション方面ではいまひとつ定まった訳がないようなので、まあ心射格子と訳すのが無難だろうな、と考えています。

ちょっとまった! という人はお早めに。

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