2019-09-02

(メモ)気象学会「天気」2019年7月号

ジャーナルメモがこのところできていなかったが、メモしないで読むのは意味がないし、読まないで捨てるのももったいない。

・佐藤他 2018年度「エアロゾル・雲・降水の相互作用に関する研究集会」報告

イントロ、IPCC AR5を引いて雲が気候予測に関する最も大きな不確実性要因であるとして始めている。気候の予測に不確定性を与える程度にしか我々がシミュレーションできないのであるから、防災目的中期予報の精度障壁であるともいえるだろう。
明示はされていないが、荒木健太郎さんが世話人の独りらしい。ツイッターだけ見ていると、通俗書を出して、映画に出て、まあスター研究者であるには違いないわけだが、やることはやっていることに留意。

具体の発表はよくわからない。ええと、「よくわからない」というのは、「短期予報の改善のために投資するなどなんらか戦略的に称揚すべき個別研究は見いだせないが、分野の存続の意義を否定するものではないので、できれば予算要求として通る説明を目指してがんばってくださいとは思うし、なにより権威ある・権力ある者と読者に思われること自体が適当ではないと判断した」の略語みたいなもんですので、教えてくれなくていいです。

・気象学会春季大会の報告

いろいろすったもんだしていたが、紙の予稿集がついに廃止になったらしい。学会も相当若返ったのだろう。過去五年の参加者数と講演数のグラフがある。講演数は大差ないが、参加者数がずいぶん減っているようだ。もっと以前の動向も追えばなにか原因らしいことはいえるかもしれないが、さしあたり、参加者数は1000人というよりは600人くらいのつもりで参加料含めた経営構造を設計しないといけないことはいえる。それ以上はよくわからない。そもそも気象学会は2001年を最後にシンポジウム以外発表していないのでなんとも雰囲気がわからない。

あと、個人会員数が6月13日現在で3188名だという。ざっくり2割しか学会に来ない。この長期的動向も抑えておきたい。たぶん減少しているはずである。

・藤部ほか 東京における2018年夏の熱中症被害の概要

1年遅れの話だが、なにしろ毎年千人以上が死んでいるのだから、よくよく把握しておかねばならない。

‐死者の大半は高齢者
‐東京二十三区別でみると北側いわゆる下町で多い傾向
‐死者数と搬送者数のデータがある。「社会の意識向上で搬送が増え死者が抑制」と読んでいる
‐当日だけでなく数日前の平均気温に相関が高いこと
‐温熱指標のリファレンス

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