示量変数 extensive quantity と示強変数 intensive quantity というのは、物理量が空間の測度あるいは媒体の量に比例するようなものであるか、あるいはそうでないかという区別である。たとえばひとかたまりの物体のエネルギーや質量は、それを半分に分ければ半分になるが、温度や圧力は半分にわけても半分にはならない。
格子点データには示強変数が通常は用いられる。温度が5 km格子で与えられているとして、10 km格子が欲しければ、単に間引けばよい。格子の数は1/4になるが、格子点が同じ場所になるなら同じ値が使える。
これが示量変数、質量や、もうちょっと気象らしい例でいうと降水量を格子セル内に降った水量 kg とかで与えてしまうならば、間引きや他の投影法についての格子変換は複雑にならざるを得ない。示量変数は面積や体積で割ることで、示強変数になる。降水量でいえば kg のかわりに kg.m-2 を用いればもう間引きは心配いらない。
時間次元でも似たような問題があって、積分量(たとえば降水量 kg.m-2)のかわりに降水強度(kg.m-2.s-1)を用いたならば、いつからいつまで積分したかを明示する必要がある。
まあ、そうは言っても積分量を使いたい人は多いので、積分区間を明示するしかないのである。
ところで、河川流量の格子点データで単位 m3.s-1 を使いたいという話をきいて仰天した。きいてみると、モデルが変わっていて、本来は線(一次元)地物としてあらわしたほうがよさそうな地形を格子点の列であらわし、流れのない格子は欠損値にするんだという。
http://www.emc.ncep.noaa.gov/mmb/nldas/drought/Stream/
こんなのでいいのか、と言いたくなってはくるが、さて何が悪いか言うのは難しい。
0 件のコメント:
コメントを投稿