2012-11-13

色覚についてのメモ2:色立体図

RGB 色空間は R, G, B それぞれに 0 から 255 までの数値の3つ組で、立方体型で描くことができる。どういう向きに描いてもいいのだが、三色視の人向けのデザインに有用なのは黒(0, 0, 0)と白(255, 255, 255)を重ねて置いて、周縁に飽和度の最も高い色、いわゆるカラーサークルが来るように置くことだ。
RGB色空間(カラーサークル視点)

 前回の理屈で、混同色軌跡を描いてみるとこうなる(ただしY=1は大きすぎるのでY=0.33にした)。


リニアRGB空間で描けば直線になるのだが、実用のRGB空間ではガンマ補正のおかげで曲線になってしまっている。それでもまあボチボチまっすぐな線ともいえる。
第一異常の混同色軌跡(カラーサークル視点)
第二異常の混同色軌跡(カラーサークル視点)

これら混同色曲線が平均的になるべく短く見えるように色立体を回転してみる。緑と橙、青とマゼンタ、赤と黒が近くなるように回転すると、まあ多少の誤差は許容願えば、第一異常・第二異常ともにほぼ混同色曲線が点になる。
 無彩色を真ん中に置いたので、二色視の人には、両端が青と黄色で、中心の無彩色軸に向けてほぼ一様なグラデーションに見える、と思うが経験できないのでよくわからない。計算間違いなど、ひどい間違いでないことを祈る。
 かなり粗い近似ではあるのだが、この置き方の色立体上であるていど離れて見える2点は、どの見え方の人にも識別しやすいということになる。おおざっぱには、左右が青黄軸、上下が白黒軸である。英語で colorblind-safe というほど精密なものでないので、いい名前を思いつかないが、これを青黄視点と呼ぶことにする。

第一異常の混同色軌跡(青黄視点)
第二異常の混同色軌跡(青黄視点)

さて、今話題の新アメダス気温カラーコードをプロットしてみると、次のようになる。カラーサークル視点だと緑も紫も使ないため、せっかく使える有彩色をほとんど捨てているということになるが、青黄視点では利用可能な範囲の外郭をほぼめいっぱい使っていることになる。
新アメダス気温カラーコード(青黄視点)

新アメダス気温カラーコード(カラーサークル視点)
 比較のため、かつてのアメダス気温カラーコードも挙げる。カラーサークル視点では、有彩色をフルに使っていてわかりやすいようにも見えるが、青黄視点では暗→明→暗の行き来が多すぎるし、橙→黄→緑がほぼ同じところに戻ってきてしまっていた。
旧アメダス気温カラーコード(青黄視点)

旧アメダス気温カラーコード(カラーサークル視点)
 ついでに、震度階級の例を。これは、周縁をなるべく使って、S型というか、逆Z型にしようという考えらしい。青→クリーム色→黄というところで、クリーム色(震度4)がちょっと白すぎやしないかという気もしないこともないが、さりとて緑味をださせるとおかしなことになるだろうし、震度5以上とは明瞭に差をつけたいのだろうから橙味をださせることもできないし…
新震度カラーコード(青黄視点)
新震度カラーコード(カラーサークル視点)


まあ、そういうわけで、わかったこと:

  • RGB立方体を回転させるだけでも、粗雑ではあるが二色視の見え方をあるていど想像する助けになる。と思う。
  • 今回の気象庁カラーコードは、比較的数の多い三色視、第一異常、第二異常の人たちが、それなりに弁別可能な色空間のサブスペースを最大限使うよう、いちおう考えているように思われる。
 最後に、数が多いといったのは、第三異常というのも数は少ないけどあって、残念ながらまるきり混同色軌跡の方向が違うので、その方々にとっても弁別可能な配色、というとグレイスケールになってしまうのですね。もしいらしたらごめんなさい。

[11/14追記:第二異常の混同色軌跡について画像を差し替えました。また、第三異常についても、グレイスケール以外なにもできないかのように書いていますが、いささか短絡した論理です。次項以下ご参照]


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